システムインテグレータ

システムインテグレータとしての活用方法を考えるにあたって、顧客への活動形態を5つ(営業・システム構想・要件定義・開発・保守)に分割した場合、主に開発以外の部分にBABOKは有効活用が可能と考える。その視点それぞれについて以下に考察するが、その前にBABOKで定義されている要求の種類について明記しておく。(SIerは顧客要望を満足するために存在しているため、どのプロセスであっても顧客企業(もしくはステークホルダ)の要求を明確化しておく必要がある)

要求

ビジネスアナリストは、ビジネスのプロセス、方針、情報システムの変更といった要求抽出、分析、連絡、妥当性評価を実施するために、ステークホルダーと密に連携を取る。その要求とは「 問題解決又は目的達成のためにステークホルダーが必要とする条件又は能力、もしくはシステムの条件や能力」を指し示し。明確な要望からあえて明示しないが、双方にとって当然必要な(ここが文章で記述されていないために問題になるケースが多いが)など様々な要素がある。
主にBABOKでは要求を以下のように定義している。

1.スコープ機能的要求
ある特定範囲に必要な機能もしくは、システムの能力(行動又は反応)
2.サービス品質の要求
環境条件又はシステムに必要な質
3.想定状況と制約
問題解決の制限となる制約、もしくはその状況
4.実施要求
移行をスムーズに行うめ、ソリューションに必要とされる能力を指す

では上記要求を以下のカテゴリで其々意識すること、BABOKの知識エリアを活用することでどのようなメリットを味わえるだろうか?

営業(プリセールス含む)

 BABOKでは、いわゆる飛込み方営業の技術そのものに関する記述はない。ただし、すでにある程度のコネクションを構築されているクライアントへは、その要望を抽出するための様々な技術を提供している。主に「要求抽出」の知識エリアを活用し当初の顧客要求を明確にし、「ソリューション評価と妥当性確認」の結果をもって次の改善(営業)につなげるイメージになるだろう。旧体制のシステムインテグレータの場合は、ただの営業と開発が明確に分かれていて「売るだけ」「作るだけ」と双方仲が悪いケースが散見されるが、本来営業的な活動は解決策を持つものがするべきであるし、要求を明確に抽出したものが、その後の要求のトレースも実施すべきであろう。今後、旧態の営業技術だけではなく、システムアナリスト的な技術も必要となるだろう。(ちなみに営業必須の技術である初対面で好印象を与える技術と飲ミニュケーションだけは、知識は役にたたず、体で覚えるしかない。残念ながら)

システム構想(業務含む全体構想)

 名実共にこの部分と次の要件定義がBABOKの記述内容そのものになる。コンサルタントがこのフェーズを担当し、次のフェーズのシステムエンジニアへ引き継ぐのがシステムインテグレータの一般的な手法になるが、コンサルタントが要求抽出が不十分であったり、開発能力を無視した全体構想を作成したために(あるいはSEへの情報伝達が不十分のため)、システム構築に失敗したり、当初構想とかけ離れたものができあがるケースがある。これを防止するためにBABOKは作成されたといってもいいだろう。(一説によるとこのフェーズの不十分さがシステム構築の失敗原因の7割を占めるとか)エンタープライズ・アーキテクチャで定めている情報を意識しながら進める必要がある

要件定義

 コンサルタントが描いた餅を食べられるようにするために、素材レベルから顧客と吟味しなおす作業をSE(システムエンジニア)が実施するフェーズ。コンサルタントや顧客と喋る言語が違うために「ワラビ餅」になるはずが「柏餅」が作られることがある。逆にこのフェーズの担当者が優秀だと予想外にプロジェクトがスムーズに進捗し、顧客要求を充足する。先のフェーズと同様にBABOKが有効に効果を発揮する。「要求抽出」、「要求分析」、「要求マネジメントとコミニュケーション」を参考にしたい。

開発

 残念ながらこのフェーズはBABOKの対象外となる。要求を満足するために実際に開発する部分であり、その重要性は他に類を見ないが、PMBOKやSWEBOKがこの領域をカバーする。

保守

 最下流で非生産的な仕事に思いがちだが、このフェーズ如何で次の受注にも繋がるし、現場の声を生で聞ける分顧客の要求に触れる機会も多いため、プロジェクトのライフサイクルとしては非常に重要なフェーズとなる。おもに「サービス品質の要求」が上流で明確にされていないために、このフェーズで問題になるケースが多い。元々上流での要求充足要件がどのように定義されているかを確認し、よりよいサービスを提供するように心がける必要がある。(数年前のIBMレポートによると全体売上の7割が保守とのこと。各企業ともに昔よりもこのフェーズに力を入れるようになっており、ITILなど知識体系も整備されだしている)。このフェーズで要求の充足度の確認、、変化した要求の確認、新しい要求の把握を意識して次のプロジェクトへと発展させる